Classic Rockの記事より
引用:
http://classicrock.teamrock.com/features/2015-09-04/babymetal-will-the-future-of-rock-look-like-this
日本のポップメタル3人組、BABYMETALは、誰もが口にする名前だ。しかし、彼女らの現象は本物なのだろうか、それとも奇抜さを狙った金儲けだと冷めた目でみている?
秋が近づき、私達は、この10年で最もワクワクさせ、意見の対立を生むことでロックを刺激した、BABYMETALの夏にさよならをした。
ほんの18ヶ月前まで、日本のポップメタルのチアリーダー達は英国で公演したこともなく、ヨーロッパでのレコード・レーベルさえ持たなかった。
多くが短命の風変わりなギミックだろうと一笑に附していたグループは、今やどどまるところを知らず、ダウンロードでドラゴンフォースと共演し、レディングでは、メタリカのオープニングを務めた。
彼女らの目まぐるしい躍進にもかかわらず、BABYMETALは依然としてロック好きな人達の間で激しい論争を引き起こしている。
ある純粋主義者達にとって、東京生まれのロックアイドルは、メタルの真の精神を踏みにじる小型のゴジラだ。
しかし、彼女らの綿密に計画された世界征服が進むにつれ、その後を追う模倣者達と共に、BABYMETALは、ロックの未来の姿であることを示してさえいるのかもしれない。
彼女らのカワイイとメタルの融合を最大限に引き出したブランディングにより、3人の女の子達によるシンガーの息をつかせぬバブルガムティーン・ポップの歌声と、それとは不釣り合いなヘビーに切り刻まれたギター演奏とが掛け合わされた。
全体的なコンセプトは、キツネの神の神秘な力についての滑稽なバックストーリーによってパッケージ化され、著しく映画的な動画と多くの口コミでの評判が加わり、オンラインで2500万回もの再生回数を得たギミチョコも際立つ。
BABYMETALは、西洋人の目には異質なものに映るかもしれない。しかし、彼女らは孤立して現れたわけではない。
その3人のシンガー(すず香 "Su-METAL" 中元, 17歳、そして、最愛 "MOAMETAL" 菊地、と、由結 "YUIMETAL" 水野の二人は16歳)は、最初、日本の巨大なアイドルシーンでJポップスターを生む一旦を担うさくら学院という女学生のバンドの中で一緒に活動していた。
近年アイドルマーケットは飽和しつつあり、経営陣やレーベル達は、ロックやメタルといった余地を残す、より見込みのあるサブカルチャーから音楽とスタイルを借りつつ、その形式をリフレッシュする方法を模索していた。
こうして、BABYMETALは生まれた。マネージャーであり彼女らの音楽的な影の支配者でもある、敬 "KOBAMETAL" 小林は、作曲チームをリストし、そこには、カルト的ノイズロッカー、コールター・オブ・ザ・ディーパーズのベテラン、奈良崎伸毅や、以前のエレクトロパンク、ザ・マッド・カプセル・マーケッツの上田 剛士も含まれる。彼はまた、パワーメタルバンドのドラゴンフォースにもアプローチし、Road of Resistanceの曲でコラボした。
ドラゴンフォースのハーマン・リは、小林のメタルへの専心は、BABYMETALの過小評価されている真実性にとって不可欠なものであると言う。
"彼は、本当に情熱的なロック・メタル野郎なんだ。彼は自分の何たるかを理解している。"とリは主張する。"人々はいつも、女の子たちのダンスと奇妙な日本風のことについて語るけど、日本の文化に慣れていないとしたら、それが奇妙なことなんだ。でも、音楽は本当にキャッチーで、パワーメタル、ロック、デスメタルさえもミックスしてるんだ。"
BABEMETALはその見た目から'パンクロリータ'とラベルを貼られるものの、他の多くの同世代のJポップの子達と比べて3人の性的な強調は少ない。
彼女らの様相はゴシック風の軍服で黒と赤に武装した身体を漠然と不気味なチアガールの衣装にブレンドしている。
このイメージはまた、日本の80'、90'年代のヴィジュアル系、そしてグラム・メタルと呼ばれるサブジャンルのホラー映画から切り取ったかのようなシーンも参考にしている。
日本のバンド以外のバンドが行かなかった所を歩んでいる、BABYMETALは今や西洋で紛れも無い成功を収め、母国語で歌うというハンディキャップにも関わらず、昨年のiTunesの世界のメタルチャートでセルフタイトルのアルバムでトップを飾った。
このバンドは、2014年のソニスフィアで65000人の観客の前で英国で初めての公演を行った。中には嘲笑する者もいたが、ヤジより声援の方が多く、シンガーをバックで支えるミュージシャンたちの猛烈な騒音による助けもあった。
2つの大盛況のロンドン公演も続き、場所も小さなクラブから大きなコンサートホールへとグレードアップした。
すべての厚かましい商業主義のために、BABYMETALのマネージャー達は、このバンドの英国での膨大な規模での魅力に不意を突かれた。
もちろん、この成功は、音楽性と同様、マーケティングによって勝ち得たものだ。
ジヤパンタイムスの評論家、英国生まれのラン・マーティンは、東洋学者の文化的なステレオタイプに対する賢い利用の仕方に部分的に依存していると主張する。
特に、"西洋のメディアが盲目的に、風変わり/奇妙な日本の物語を受け入れてしまう"と。
ジャパン・タイムスのコラムで昨年、マーティンは、そのバンドの高度に様式化されたイメージの裏にある、はっきりとした広告のロジックを説明した。
"これは、自分たちがやっていることをよく理解している人達の仕事だ"と。彼は次のように書いた。"そういう意味では、これはドラゴンフォースやマノウォーといった西洋のメタルバンドが数十年間もファンを楽しませたり、狼狽させたりしてきたやり方に比べて、本当にばからしいことなのだろうか?"
しかし、一方、評論家は、BABYMETALが人々を魅了し、メタルファンの間で意見の対立を産んでいることも分かった。
純粋主義者は、そのバンドを、"作られた無意味なもの"、"中身がない"、或いはそれ以下と否定する。
彼女らのデビューに関するあるレビューでは、"メタルのアルバムとしては上手くやれていないし、かといって良質のJポップアルバムというわけでもない...願わくば、長く歓迎されることのないギミックであってほしい"と結論づけた。
ハーマン・リは、BABYMETALのヘイターに対して驚くほどのんびりしていた。"彼らには一理ある。何故なら、誰もが音楽に対して異なる見方をしているから。"と。彼は言う、"でも、彼らは、メタルが進化してきたことを忘れている。今のバンドは、レッド・ツェッペリンやブラック・サバスのようなサウンドではない。観客をそれぞれに区分する。それが彼らがこういう議論をする理由さ。人々はある物事を嫌うのが大好きなんだ。"
小林はさらにステップを進める。BABYMETALを叩く人達を、彼の世界征服の一部として受け入れている。"実際これはいいんだ!"彼は、昨年メタルハマーに言った。"スリップノットの場合と同じだった。彼らが始めた時、多くの人々が、クソだと言った。ヘイターはいつだっている。そして、それは次のレベルに行くために必要なことなんだ。"と。
BABYMETALにとって次のレベルとは、しっかりとしたセカンドアルバムを出し、単なる目新しいだけのバンドではないということを証明することになるだろう。しかし、彼女らは既に文化的な現象であり、バンドメイド、韓国のプリッツ、ももいろクローバーZといったアジア圏の若い女の子達のポップバンドがよりヘヴィなサウンドを取り入れるきっかけにもなっている。中には、あごひげを生やしたLadyBabyのように、BABYMETALのトリビュートバンドやパロディバンドも現れている。
それで、紛れも無く、つくりものの、イメージ先行の、BABYMETALのようなメタルアイドルバンドが、ヘヴィロックの将来の姿なのだろうか?
多くの真面目なファンは、それは悪夢のシナリオだとみなすだろう。しかし、ハーマン・リはその展望にあまり心配はしていないようだ。
"そのイメージは、さほど多くの事は意味しない。" 彼は言う。"優れたパッケージを持つことは良いことだよ。しかし、大多数の人がそれが気に入って音楽を聴くなら、それが一番大事なことなんだ。BABYMETALは今、とても重要だ。俺達はいつも前を向かせてくれる他と違った何かを必要としている。そして、BABYMETALは、以前はメタルを聴いたことがなかったような人達を連れてきてくれているんだ。"
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