BABYMETAL - 1年後
BABYMETALと骨バンド 2012年の頃
もしその時に嵌ってたらよかったんだろうが俺はそうならなかった。
前提がとても上手くいきそうにないもののように思えた。名前は面白そうに思えたけれども。
その後、約1年前の2014年7月に、俺は偶然にも、Facebookのタイムラインからドギドキモーニングのミュージックビデオを観る機会を得た。
その見た目に困惑し、音楽は自分にとって対局にあるもののように感じた。下に貼った動画か、このリンク先から確認してみて欲しい。
俺はどう考えればいいのか分からなかった。嫌いではなかったよ。それに俺は、どんなジャンルであれロックに、特にメタルに挑戦するような女の子達を応援せずにはいられない性質なんだ。この子たちはことさら幼く見えた。(将来に期待!) それにもかかわらず、BABYMETALのこととなると、俺はどっちつかずの状態で、彼女らのことを耳にするのもこれで最後だろうなと思ってた。
しかし、俺の友達が、Fine Bros の"ユーチューバー達のBABYMETALへの反応"って動画を紹介したんだ。
彼らのドギドキモーニングへの反応は、多かれ少なかれ俺の場合と似たようなものだった。それから、彼らは他の動画への反応も見せた。(他にもあったのかよ?!)
それらを見せられた後、彼らの考えが驚くほどポジティブに変わっていって、そのことが俺の好奇心に火をつけた。少なくとも他の曲も聴いてみる気になり、
特に、ある動画が俺の気を引いた。それが、ギミチョコ!だった。
まだいくらか不安はあったんだけど、(詳しくはこの後で)少なくともこの曲には嵌った。キャッチーで、リフはブルータルそのものだ。フロントの女の子達は楽しく、上手く歌っている。しかし、ここに俺が容認できないことがあった。これはライブ公演なんだけど、バックバンドは、骨バンドと呼ばれる単なるダンサー達で、楽器を演奏するフリをしてるだけだった。だから、だめだ、彼らをバンドと呼ぶことはできなかった。確実にメタルバンドではない。
でも、その後、俺は、ソニスフィアでの滅茶苦茶すごいパフォーマンスに出くわした。そして、メタルが出来うる最も凄まじいそのやり方に、俺の世界はズタズタにされた。
BABYMETAL - Live @ Sonisphere 2014 [Full Set] 投稿者 xanthons
話を続ける前に、BABYMETALとは何者なのかって? それは君が何者かによって変わるよ。
ある人はこう言うだろう。2010年に彼女らのプロデューサー小林啓によって、学校をテーマにした、さくら学院というアイドルポップグループのサブユニットとして結成された。
考え方は、グループそのものが学校の設定で、様々なクラブ活動(新聞部、クッキング部、テニス部等)を行っており、その中の一つがBABYMETALと呼ばれる重音部だった。
グループではKOBAMETALとして知られる小林は、菊地最愛と水野由結を、それぞれMOAMETAL、YUIMETALとして採用した。二人ともその時は12歳だった。シンガーは中元すず香、SU-METALで、その時は14歳で、以前は、可憐ガールズというアイドルグループを経験していたが、それとはひどくジャンルの異なる、彼の実験的な音楽の混合物へと組み込まれることになった。
次の動画で最初のクラブ活動プロジェクトをみて欲しい。
そして、サブユニットとしての最初のパフォーマンスが下の動画だ。
しかし、また他の人はこう言うかもしれない。彼女らは、メタルミュージックの偉大な力によって世界を救うという聖なる任務に着手するために、きつね様によって呼び集められたのだと。
そう、あらゆる所に抜かりなく、彼女らには伝説的なバックストーリーが与えられている。
これら初期の動画を観ると、クスクス笑ってる10代の女の子達を使った単なるふざけたアイデア以外の何物でもないような印象を持つかもしれない。
結成時の、すず香、最愛、由結の考えを想像できるかい? 彼女らはポッフスターになる夢を抱いていた。これは彼女らがやると契約したものではなかったんだ。
彼女らは正直なところメタルを聴いたことすらなかった。しかも、その当時、ジャンルとしてのメタルは、異質なものだった。先の見えない道のり。彼女らは、客観的にみて失敗を避けられないグループにいた。
でも、俺は、小林は彼女らにヘヴィミュージックの集中特訓を施し、彼女らはすぐにメタルが大好きになっていったんじゃないかと思ってる。
楽しさを見つけ、それがキーになったんだと思う。振り付けを想像すると、すぐに自分のものにしだした。観客が少なかったことに気づいたかい?この初期の頃でさえ何かアイデアに通じるものがある。しかしながら、皆、そのグループが終わる時が来ることを知っていた。
さくら学院が小中学校をテーマにしていることに気づいただろうか? 最終的にある年齢に達したメンバーは、"卒業"し、新しい若い子が入ってくる。だから、すず香、由結、最愛がさくら学院を卒業すると、 BABYMETALは存在できなくなるという心配があった。
しかし、そのグループの終わりが差し迫っていることに対する声がかなり大きくなったので、メンバー全員が卒業してもグループは存続することになったんだ。
少しづつ、彼女らはライブでの演り方を変えてきている。上手くいったところは残し、さらに改良してきた。数年かけて、メタルバンドとしての磨きをかけ、セルフタイトルの最初のアルバムを2014年2月にリリースした。2012年のヘドバンギャー!!のこのパフォーマンスを観て欲しい。この時はライブパンドが一緒だ。
(訳注:この動画は既に削除されているようです。)
ソニスフィアへ戻ろう(進もう?) 俺は未だに、この壮大なパフォーマンスを、"壮大"という言葉をあまり使わずに表現する方法はないかと格闘している。これは伝説の寄せ集めだ。
BABYMETALには、J-Popの熱心なファンと、メタルヘッド達の両方にヘイターがいる。ソニスフィア 2014は、イギリスで開催されたメタルのフェスティバルで、そのグループの日本国外での最初の公演となった。
彼女らは本来もっと小さめのステージで公演することになっていたけど、それがメインステージへ、つまり、アイアンメイデンのオーブニングへと、昇格を余儀なくされた。アイアンメイデンだぞ。
彼らは、舞台裏で問題を抱えており、運営側から、割り当てられたステージ上での、サウンドチェックも含んで45分という時間を厳守してくれとしょっちゅう念を押されていた。
ブーイングを受け、尿入りのボトルを投げ込まれるのではないかという心配もあり、それらがほぼ間違いなく正当なものとされていた。
もし、メタルヘッド達がBABYMETALのアイデアとサウンドに馴染まなければ、確実にそのバンドが知っていることをやるだろう。
下の画像を見て欲しい。フロントの3人の女の子達がまさにステージへ歩きだそうとするところだ。
この子達がどれほどナーバスになっていたか想像するに難くない。平均15歳の女の子達が、間違いなく今までで最大規模の、自分らの言葉を理解しない、純粋なメタルミュージックファンの観衆の前に歩きだす直前なのだ。
それでも、彼女らはやって来て、見て、そして征服したのだ。彼女らは割りてられた1秒たりとも無駄にはしなかった。
フェスのいたる所で多くの人達が彼女らを話題にした。
それどころか、確実に俺は彼女らを尊敬した。しかし、最も重要なことは、これが、彼女らの西洋のメタルワールドへの参入を意味したということだ。
でも、何が変わった? なぜこの公演が突然俺のBABYMETALへの印象を変えることになったのか?
彼らは、ギミチョコは別として、その時点で俺がまだ聴いたことがなかった曲を演奏した。そして俺はそれら全てが気に入った。
俺がそれまで聴いてたものよりヘヴィーだったし、観衆に対して曲の選択もパーフェクトだった。驚いたよ。彼女らが見せるガッツとプロ意識がステージの周りにも影響を及ぼし、衝撃を与えたんだ。そのことに敬意を表する。
そしてもう一つの大きな要因は、驚くべき神バンドだ。
そしてもう一つの大きな要因は、驚くべき神バンドだ。
このメタルの名手達を彼女らのバックバンドに採用していなかったら確実にBABYMETALの犯した罪となっていただろう、何故なら、大村孝佳、Leda Cygnus、BOH、青山英樹、前田遊野、藤岡幹大、そして最近では、ISAOといった、彼らの名前が世界に知れわたることがなかったのだから。
彼らがひとたび演奏を始めると、並ぶもの無しと呼ぶのもそれほど強引ではない。
BABYMETALが話題に上りフェスで公演する間、神バンドはかれらの正当な脚光をあびるチャンスを与えられる。
パフォーマーとしての彼らを慮る。彼らは公演に磨きをかけるために数年を費やしそれは実を結んだ。しかし疑問は残る。なぜこれが俺に作用したのか?
ソニスフィアでの公演の後、俺は、彼女らが最初のワールドツアーを行うのを追いかけた。そしてそれは今でもやっている。 純粋にファンカム、ブログ、インタビュー記事、たまのプレスリリースを漁りながら、俺はこのバンドが俺に及ぼした影響に当惑している。
最初に、言うまでもないが、彼らのアルバムに完全に嵌った。音楽が素晴らしく、注視せずにいられない。ほとんど、人の手による奇跡だ。日本人が彼らの作品にどれほど細心の注意を払うかということを垣間見せてくれる。レコードされた個々の曲とアレンジは、全体的に精巧に組み立てられ、そのユニークさを思えば、それも当然なのだ。
実際に、彼らはアイデアを取り入れ、それに楽しさを与えつつも、確実に正しいやり方をした。しかし、そこには確実に楽しさがある。俺の楽しみ方はさておき、そのアルバムは俺の賞賛を得ることとなった。
Su-metalは、素晴らしい歌い手で、全く率直に、BABYMETALが巻き起こす物事の中心にいる。彼女はまだかなり若く(今は17歳)、メタルのフロントウーマン、またはポップスターとしての潜在能力を秘めている。
しかし、この若さにして、彼女は既にメタルのフェスではベテランの域に達している。メタルの神や女神のランキングの論争にも上るほどである。
彼女は疑いなくメタルレジスタンス(前振りでナレーターが言うBABYMETALの背景)の女王だ。
バカにしようが笑おうが、今や多くのメタルヘッド達が彼女の歌に耳を傾ける良い機会に恵まれた。
それは確実に、成し遂げたことの一つだ。
BABYMETALは、YUIMETALとMOAMETALという、このバンドのスクリーマー兼ダンサー(実際に説明されている役割だ)がいなくてもやっていけるという議論を、俺は聞いたことがある。
俺は同意しない。個人的には、彼女らのおかげでBABYMETALらしさが表現され、真にユニークなライブミュージックバンドになっていると思っている。
彼女らはグループの魅力を投影する難しい役割を担い、明らかに全ての公演で限界まで動き回っている。
俺は普段、メタルのコンサートでの振り付けにそれほど注意を払ったりしないが、最愛と由結は、確実にその見方を公演にもたらし、すず香のボーカルにうまく彩を添えている。
彼女らはそのお下げ髪で自分たちがやるべきことをよく分かっている。それこそが俺がやっと理解した"かわいい"なのだ。
彼女らは公演を通じてメタルの魅力を認識させてくれていると確実に言える。
俺も同じぐらいの年齢でメタルに出会った。メタルのバンドをやっていたことすらある。でも似ているのはそこまでだ。
彼女達は、俺の理想の生き方の一つなんだ。世界をツアーし、音楽で最も語られるバンドの一つとなり、この世の多くの偉大なロックフェスティバルに出演し、賞をもらい、メタリカ、スレイヤー、メガデス、アンスラックス、ジューダスプリーストなどらと絡んでいるのだ。
性に媚びないアジアの元気な3人の女の子達が、こんなことを可能にしているのを見ると励まされるよ。
メタリカと言えば、3人の女の子達のインタビューでその最初の出会いが何度も取り上げられる。彼女らが彼らに舞台裏で最初に会った時にどうやら、よくいる普通の素敵なおじさん達だったことに驚いたようだ。しかし、一旦ステージに上がった時に、メタリカへと変わる豹変ぶりについても語っている。
すず香は、かつて、BABYMETALのメンバーは、どのぐらいメタルですかと尋ねられ、自分らがメタルである唯一の時はステージ上にいる時ですと問題なく答えている。
俺は、彼女らのメタリカとの出会いが、ステージ外ではいつもの自分らでいていいんだと思わせる後押しとなり、メタルにふさわしくないと思う言動をとることを常に気にする必要もないと考えたんじゃないかと思う。
では、いつメタルに変わるのだろう? 由結はこう答えたことがある。なんでもできるように感じると。
彼女らにとってメタル的人格とは、スーパーヒーローの分身のようなものなのだろうか?個人的にはかなり興味深い。おそらく、ステージ上で彼女らは力を得たように感じるのだろう。彼女らは人を奮い立たせ、ヒーローになれる。そして? えーと、すず香がこう指摘したことがある。一旦、SU-METALのボニーテールを外すと、東京の人混みの中へ紛れ込み人目につかなくなったかのように感じると。おそらく、クラーク・ケント(スーパーマンの人)でさえ人間に戻る時はそこまで滑稽なものではないだろう。
BABYMETALの全ては、明確なコントラストの組み合わせだ。ハイピッチのボーカルに、骨までしびれるようなリフが付随している。見た目が純粋な3人の10代の女の子達に、観衆は、"DEATH!!"と叫ぶ、
彼女らは、黒と対照をなす、明るい赤色のフリルのついたスカートを身につけ、かわいいドレスは、甲冑仕立てで鋲や棘がつけられており、胴着には花の模様が掘られている。彼女らはまた、ほとんど白塗りのバックバンド達とも対照をなしている。そのことで、彼女らのシルエットを見ただけで、もうそれが誰だか分かるようになっているのだ。
彼女らはまた世界中のアーティスト達の様々なファンアートに影響を与えてきている。俺も含めてね。
さらに面白いことは、彼女らについて俺が遭遇した全てのレビューアが指摘する点だ。それは意見が極端に別れるということ。大好きになるか、大嫌いになるかだ。
そして、意見の極端化は、少なくとも大部分で垣根の一方にいる人たちは、他の人たちが垣根の向こう側にいる理由が完全に分かっているということにも繋がる。
誰もがそれが万人向けでないことを理解しており、ヘイターとエリート主義者達はどちらでも除外されている。
しかし、何より、彼女らは純粋に楽しい。メタルミュージックに一般的に結びついた、破滅、怒り、不安、陰鬱といったものからの新鮮な変化だ。
ステージ上で誰もが楽しんでいるのが見られるだろう。そして彼女らの楽しさはこちらにも伝染してきて、観衆は笑顔でモッシュを始める。
彼らは人々の海で身体をぶつけ合い、楽しさを燃料にしたウォールオブデスの中へ飛び込んでいく。
正直に言うと、一年経ってもまだ彼らに嵌っているなんて俺は思いもしなかった。しかし、悲しいかな、今でもオンラインで見つかる彼女らのニュースが気になってしょうがないんだ。彼女らのステジオ録音とライブアルバムは日常的に俺のプレイリストに入っている。俺の中の古いメタルヘッドに、本当に元気を取り戻させ、もう一度楽しみを与えてやる必要があるんだ。
メタルに太陽の光が照らされた。それがBABYMETALだ。
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